ICBD 2023 message
Japanese translation
2023年国際子どもの本の日・ギリシャからのメッセージ
わたしは本 わたしを読んで
文:ヴァゲリス・イリオプロス
日本語訳:前沢明枝
わたしは本。
あなたは本。
わたしたちはみんな、本なのです。
わたしの魂はわたしの物語。
どの本も、世界にひとつの物語。
見た目はみんな、まちまちで
大きかったり、ちいさかったり
白黒だったり、カラフルだったり
ぶあつかったり、うすかったり。
だれかと似ていることも言えば
まるでちがうことも言う。
それが、わたしたちのすばらしいところ。
みんなおなじじゃつまらないもの。
この世にふたつとないのだから
どの本も、たいせつにされなくてはなりません。
かってな思いこみなど、もたずに読んでもらうのです。
本だなに、ちゃんと置いてもらうのです。
わたしを読んで、うたがってもかまわないし
反対しても、考えたことを口にしてもかまわない。
わたしを本だなにもどしてもいいし
わたしをつれて、長い旅にでてもいい。
けれど、わたしを捨てさせてはいけません。
手のとどかないところへやらせてもいけません。
わたしを燃やしてしまえなんて言わないで。
だれにもそんなことはさせないで。
もし、どこかの本だなを追われて
にげてきた本がいたならば
その本のために場所をあけてあげてください。
あなただって、そばにきてくれてよかったと
思うかもしれません。
にげてきた本はどんな気持ちか
思いめぐらしてみてください。
わかってあげて。 守ってあげて。
それは、明日のあなたの姿かもしれないのです。
だって、あなたも本だから。
わたしたちはみんな、本だから。
だいじょうぶ。みんなの耳にとどくよう
大きな声で言ってみて。
「わたしは本。わたしを読んで」